カシオ エクシリム EX−S1について


EX-S1
革命的だった超スリムボディ。

☆ジャンク度☆
無し
撮影可能


EX-S1 EX-S1
 エクシリムシリーズのスタートモデル。
 カシオの強みは明確なコンセプトをブレれずに商品化できる能力だな。


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 ライカ判換算で37mmF2.5の単焦点レンズを搭載する。
 固定焦点(パンフォーカス)ならではの、機動性の高い撮影が持ち味だ。

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 素晴らしく薄いボディ。
 しかし、ステンレス外装が安心感を与え、華奢な感じはしない。

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 カードサイズボディながらも、グリップを形成し、ホールディングは良好だ。


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 それまでもカードサイズデジカメは存在したが、トイデジカメと言われるようなモノばかりだった。
 液晶ビュワーを搭載した、カードサイズの「本物のデジカメ」は本カメラが最初だろう。
 液晶ビュワーのクオリティは当時の標準並で、晴天下で真っ黒になってしまうが、それは本カメラの特定の欠点ではない。


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 充分に効果的なフラッシュを搭載する。
 操作系も常識的で、基本的なデザインは後のエクシリムが継承していく。

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 SDカードの蓋まで省略しているのに注目。

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 SDカードと薄型バッテリーを組み合わせる。

 専用電池も大柄で、単三型電池なら4本は必要とした薄らデカいデジカメも、新世紀に入る頃にはかなりコンパクトになっていた。光学ズームレンズを搭載機ならキヤノンのIXYデジタルシリーズやソニーのDSC−P5あたりは、そこそこコンパクトだった。単焦点レンズ搭載機ならフジフィルムのファインピクス50iは、写りも良くバランスもイイ。しかし、2002年6月にカシオから画期的にコンパクトなデジカメが登場する。いや、正確には画期的にスリムだった。それが本カメラと兄弟機のエクシリムEX−M1である。
 ボディはカードサイズで表面積は本当にクレジットカードと同じである。それに素晴らしく薄かった。その幅は1cm程である。ボディはステンレス外装でソリッドなデザインも効果的で華奢な感じは全くしない。そのため、見た目よりも重みを感じるが、安心感につながる。勿論、一般的なデジカメに比べて遥かに軽量である。それ以前も薄型軽量のカメラは存在した。アクシア(フジフィルム)exeplateとか、マクセルのWS30SLIM、旧くは三菱(亜土電子)のD−J1000等と言う物もあった。しかし、それらは35万画素級の撮像素子であり、液晶ビュワーも搭載しない、内蔵メモリ機に画像を搭載する「トイデジカメ」の類から抜けるものでなかった。本カメラは液晶ビュワーを搭載し、SDカードに記録する、「本物のデジカメ」だったのだ。
 ポイントなのはカシオは、ただ薄くてコンパクトなデジカメを作ったわけではないのだ。コンセプトは「アクセサリーのように身に着け、撮りたい瞬間にスマートに撮る」であり、ボディのフロントパネルには「着るカードカメラ(WEARABLE CARD CAMERA)」がメッセージを発している。スマートに撮るためにはレスポンスが高くなくてはならない。まだまだデジカメが起動までに6〜8秒ほどかかった時代に、本カメラは2秒弱で起動し、撮影可能状態になった。更に、レリーズボタンの押下の次の瞬間には画像の記録を始め、再び撮影可能状態になるまで3秒ほどしかかからない。現在の感覚では妙な話なのだが、当時のデジカメはレリーズボタンの押下からAFユニット駆動し、シャッターが実際に切れるまでに普通に3秒くらいのデュレイが発生した。また、機種によっては恐ろしく画像の記録時間が長い物もあった。なので、当時のデジカメは「動くものは撮れない」とされていた。更に重要なのが、本カメラのバッテリーは当時としては異例に薄型なのだが、かなりタフなのだ。薄型バッテリーだと2001年に登場したコニカのデジタルレビオ KD−300Zは著しくバッテリーがプアで、しかも信じられない程、簡単にお亡くなりになってしまう。後年の機種でも、IXYデジタル50など、多くのIXYデジタルシリーズが採用するNB−4Lは凄まじく寿命が短いし、ミノルタのディマージュXシリーズが採用するNP−200の現在の生存率は絶望的だろう。なので、これらのカメラを手に入れたとしても、カメラとしては正常に動いてもバッテリーがダメなので実用は難しい。大抵の場合、純正のバッテリーがダメなら、サードパーティ製もダメだ。それに比べて、本カメラの採用するNP−20は生存率が高く、使い物になる可能性が高い。後に、エクシリムはズームレンズを搭載し高画素化するが、エクシリムEX−Z55などが採用するNP−40も素晴らしくタフなバッテリーである。NP−40は撮像素子が1000万画素級を越える時代まで、採用を継続する。
 本カメラの特徴は「スリム」「安心感を与えるステンレスボディ」「高レスポンス」「タフなバッテリー」であり、更に付け加えると画期的な薄型ボディながらスティック型十字キーを搭載し、常識的なインターフェイスデザインも効果的で、操作性を全く犠牲にしていなかった。まさに「アクセサリー」に相応なスタイリッシュボディを実現し、ストレスを感じず「スマート」な撮影を可能にした。
 当然の如くガジェット好きは反応し、多くのネットコンテンツを賑わして、コアなファン層を形成したようだ。しかし、カシオの回想記では本カメラとEX−M1、及び200万画素級の撮像素子に換装したEX−S2/M2の売れ行きはイマイチだったようだ。当時のコンパクトデジカメの撮像素子は、普及機が200万画素級でコアモデルが300〜400万画素級、上位機種が500万画素級に達しようとしていた。そんな中、本カメラは120万画素級と、少し見劣りがするものだった。また、AFユニットを登載せず固定焦点(パンフォーカス)レンズを搭載し、スナップ撮影には大した問題にならなかったが、1mより近い近接撮影は事実上無理だった。固定焦点(パンフォーカス)レンズを搭載するデジカメは珍しいものではない。本カメラが撮影時にストレスを感じない高レスポンスを実現できたのも、固定焦点(パンフォーカス)の恩恵が大きい。しかし、大抵の固定焦点(パンフォーカス)機が搭載する、ファインピクスA201の様なマクロモードも搭載しなかったのは、マジョリティにとっては不安材料になった。
 ガジェット好きの他にも、広角レンズの焦点を3mか5mに固定し、F8に絞ってスナップ撮影をしていたフィルムカメラユーザーも、本カメラに注目した。フィルムカメラはどんなにコンパクトにデザインしようとしてもフィルムパトローネよりも薄くすることはできない。それに、基本的にフィルムは24〜36枚撮りであり、多くの撮影をしようとすると更にフィルムパトローネのスペースを消費する。当時はSDカードのメモリ単価も高かったから、今ほど膨大な枚数を撮影することは難しかっただろうが、それでも32MBのSDカードで26枚の画像が撮影出来る。画像サイズを1280x960にして画質を標準にすれば61枚の画像の撮影が可能だ。これなら、そこそこの枚数が撮影出来る。勿論、512MBのSDカードを使用すればフルサイズの1600x1200で最高画質でも431枚の撮影が可能だ。これだけの大量のカットをフィルムカメラで撮影しようと考えたら、バック一杯に詰まったフィルム箱を想像するだけで気が遠くなる。それに、これはあまり語られていないのだが、本カメラは電源を切ってもフラッシュモードを憶えているのだ。なので、起動時にイチイチ発光禁止を確認する必要が無く、不用意にフラッシュを発行して危険な状況に陥ることが無い。これは、スナップシューターにとっては重要な機能である。
 ちなみに、本カメラは内蔵メモリを搭載しているので、SDカードが無くてもフルサイズの最高画質で10枚、1280x960の標準で24枚の画像が撮影出来る。「着るカメラ」としてはSDカードを忘れることもあるだろうから、もしもの時には重宝するのではないだろうか。
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 カシオによると、エクシリムというブランド名はラテン語で「極薄い」を意味する「Exmuse Slim」を語源としているらしい。薄型電卓で財産を築いたカシオらしいエピソードである。
 コンシューマデジカメのパイオニアであるQV−10から、カシオはどちらかというとユニークなコンセプトとイージーな操作系で新しい以上を開拓してきた。本カメラの画像は確かの緩いところがある。しかし、明確なコンセプトとしては大した問題では無い。ちゃんと綺麗なが象を撮影したければ、携帯性を犠牲にしてもフジフィルムのファインピクスF401やニコンのクールピクス775を持ち出せばいいのだ。当時はデジカメは高額で一人1台が常識だったから、たった一台のデジカメを本カメラに任せるのは、確かに不安ではある。本カメラの実売価格が3万円前後だというから、パワーショットU10が競合する。拙僧が持っているのはほぼ同じパッケージングのサイバーショットU30を持っているが、これはチョコレートバー型とか葉巻型とでもいうのか、スティックに近い形状である。拙僧はミノックスやローライA110を髣髴する超コンパクトボディが愛らしい。カードサイズに拘った本カメラとはコンセプトが異なるが、超小型ながらもAFユニットを搭載している。液晶ビュワーが著しく小さいが、何が写っているのかは大体わかるので問題なしだ。ただ、表面積が小さいので操作はチマチマしている。その点、本カメラは操作系に譲るところが無い。競合はするがコンセプトは明確に違う。
 エクシリムが一般的な熱度のコンシューマに定着するのは、ズームレンズを搭載した、エクシリムEX−Z3からになる。
 異例に薄いボディを実現したEX−Sシリーズだが、後年には光学ズームレンズを搭載したEX−S100EX−S500などを市場に投入する。これらはNP−20を採用し、伸長する光学ズームレンズを搭載したデジカメとしては、信じられない位にスリムだ。
 カシオのコンセプトの実現力は脅威である。

 では、撮影結果(奥三河ビレッジ祭り編)を見て頂きたい。

(了:2013/12/21)

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