三洋 DSC−X1250について


DSC-X1250
どっこい生きていた三洋ブランド

☆ジャンク度☆
液晶ビュワー不良
撮影可能


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 つめ先タイプのグリップ。
 ちょっと栃木県のルミックスDMC−FXシリーズに見えなくもない。


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 ひとまず1210万画素級撮像素子を登載。


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 ひとまず光学3倍ズームレンズを登載。


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 なかなか薄いボディに大型液晶ビュワーを組わせる。


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 操作系は常識的。


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 液晶ビュワーの不良は持病のようだ。
 「メイド イン ベトナム」が貴重か?


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 本カメラの為にロワのバッテリーを別途購入した。
 あまり採用が無いバッテリーなので応用が利かないな。

 三洋電機がパナソニック(当時は松下電器だったかも)に吸収合併され、「SANYO」ブランドが消滅してかなり経つ。なので「三洋のデジカメ」といっても通じないかもしれないな。かつての三洋電機のブランドポジションを一言でいえば「ちょっとカッコいいスタイリングで安い家電」を見つけたら、それが三洋電機であった。二言目で余計なことをいうと、その家電を買うと後悔することが多かった。どこか再現性の怪しい故障をするとか、仕様通りに動かないとか、微妙にクレームで返品しがたい現象が起きた。拙僧が特に外れを引いたというよりは、90年代に東京で一人暮らしをしていた連中の共通認識だったと思う。
 そんな、ちょっとうさん臭い「SANYO」ブランドだが、デジカメに対するフットワークは素早かった。35万画素級時代からデジカメ戦争に参戦し、「マルチーズ」ブランドを立ち上げる。そもそも「デジカメ」は三洋の登録商標であり、他社はデジタルカメラのパンフレットに「デジカメ」と書けない。今はどうかしらないけど、基本的にはソニーの「ウォークマン」と同じ位の権限がある。伝説的な話としては85〜200万画素級時代の主要なデジカメは全て三洋電機が作っているか、三洋電機のマザーボディを組み込んでいたらしい。オリンパスのキャメディアC−860Lもニコンのクールピクス950も三洋電機が作っていたとされていた。三洋電機の自社ブランドである「マルチーズ」シリーズも「爆速デジカメ」や「動画デジカメ」というジャンルで独自のフォロワー層を形成していた。1999年に登場したマルチーズDSC−X110は85万画素級で固定焦点(パンフォーカス)機だが、電源ONから撮影可能状態まで2秒未満。撮影間隔は1.5秒を誇っていた。光学ズームレンズだが、同じ固定焦点機であるコダックのDC220Zoomは電源ONから撮影可能状態に遷移するまで16秒くらい必要としたから天地の差がある。DC220Zoomの方が半年くらい登場が速いが酷過ぎだな。それは極端な例だが、旧世紀ではデジカメは動く被写体が撮れないのが普通だったから「爆速デジカメ」のアドバンテージは強かった。撮像素子が200万画素級になって、光学ズームレンズを搭載したDSC−MZ1になると「爆速」感は薄れたが、それでも当時の標準的なコンパクトデジカメと比べると高レスポンスを維持した。特筆すべきなのは電源が単三型電池2本なのだ。単三型電池なら4本が普通だった時代に電池メーカーである三洋電機のノウハウが光った。
 デジカメのコアモデルが300〜400万画素級になると三洋電機のデジカメは一時期鎮静する。しかし、「ザクティ」ブランドで動画に特化したデジカメを投入し話題となった。「動画デジカメ」のポリシーを継承したのだ。ちょっとシングル8カメラ風のスタイリングが好ましい「ザクティ」シリーズだが、やがてわりと普通のスタイリングの安デジカメにも「ザクティ」ブランドを与えたようだ。「動画デジカメ」の「ザクティ」シリーズはそれなりにファン層を形成したようだが、前述の通り三洋電機はパナソニックに吸収されてしまった。その後、「ザクティ」シリーズは暫く残ったようだが、いつの間にか消えてしまったようだ。
           ☆          ☆
 それで「三洋のデジカメ」は滅亡していたと思っていたのだが、2013年にもなって、突然拙僧の前に現れたのが本カメラである。無論、ジャンク駕籠の中だ。ボディには12.1メガピクセルと書いてあるので、最近の物だと推測した。そんな世代に「三洋のデジカメ」が生き残っていたのは意外だったので興味を持ったし、何しろ200円のプライスタグだから躊躇せず拾ったのだ。しかし、バッテリーが無い。しぶしぶロワの互換モノを注文した。確か送料込みで580円だったと記憶する。200円のデジカメにしては高い出費だが、最近は円安の影響か、ロワの互換モノも高くなっているのでマシな方だろう。どうも「ザクティ」シリーズのバッテリーを踏襲しているらしいのだが、あまり広く採用している規格ではないので、今後の応用は難しいだろうな。バッテリーをつめると、ひとまず撮影可能だったが、液晶ビュワーに丸い影が写りこんでいた。いや、「穴のようにぽっかりと空いている」という表現が正しいだろう。大して面白くもないコンパクトデジカメの割には本カメラを取り上げたコンテンツがあるのだが、同じような液晶ビュワーの不良を確認できるので持病なのだろう。
 本カメラの登場は2009年の12月である。登場時には1.4万円くらいだったのだが、半年もしないうちに8000円を切ったようだ。仕様的には撮像素子が1210万画素級で光学3倍ズームレンズズームレンズを搭載してその値段だから、ガジェット好きが小銭で拾ってみた形跡がある。どうも、「ザクティ」シリーズの消滅以降もOEMで他社ブランドのコンパクトデジカメを製造していたらしく、その辺のノウハウを活かしているのだろう。活きているかは、かなり微妙な感じだが。
 三洋電機(パナソニック)の公式HPでも紹介している。主な特徴を抜粋してみよう。

・高精細写真1210万画素CCD搭載
・光学3倍ズーム
・デジタルズーム4倍
・最薄部17mmコンパクトサイズ
・最大15名まで顔検出機能
・笑顔シャッター
・新電子式手ぶれ補正機能
・撮影シーンに合わせて選べる「シーンセレクト」
・AFロックした被写体を自動追尾
・描写もはっきり「5cmマクロ」
・暗いところでも安心「高感度ISO6400(但し、400万画素級に制限)」

 これらの機能が効果的に機能していれば大したものである。
 ボディは薄くスリムで手に取るとかなり軽い。外装がアルミ系金属らしく、確かにそれらしい質感があるのだが、スタイリングが妙にエグく「栃木県の園児が覚書きしたルミックスDMC−FX01」という感じで安っぽく感じてしまう。いや、実際、安いデジカメなのだ。電源を投入して驚くのが、音声ガイドでしゃべるのだ。古くはミノルタのトークマンや「V&D」を思い出すが、かなりペラペラしゃべるので鬱陶しいんじゃないかな。拙僧はフィルムカメラもデジカメも消音モードで使うので、何が嬉しいのかちっともわからない。起動やレスポンスももっさりとした感じで、かつての「爆速デジカメ」の面影は全くない。インターフェイス周りのメニューのアイコンなどに、「三洋のデジカメ」を髣髴させるが、「マルチーズ」から始まった「三洋のデジカメ」とは断絶した、タダの安デジカメである。OEMのノウハウと捨て残った三洋電機時代の資源で安くでっち上げたのだろう。
 撮影画像のクオリティは酷いものである。拙僧がネガティブな単語を列挙するよりは撮影結果を見ていただきたい。なにが「高精細写真」なのか、さっぱり分からない。「笑顔シャッター」や「被写体を自動追尾」というのは他社で似たような機能を聞くが、全く異なる概念らしく、その恩恵を感じることは無い。月刊カメラマンウェブ版でも「新電子式手ぶれ補正機能」を”正体も不明”としているが、拙僧も同感である。逆光や日陰などで顕著に画像が荒々しくなるのでISO感度を上げてシャッター速度を稼いでいるのかもしれないが、「手ぶれ」は補正しないな。いや、「手ぶれ」をトリガーに何かの補正をするだけで、「手ぶれ」を補正してるのではないのかもしれないけど。
                ☆                 ☆
 とにかく、図々しいくらいダメなカメラである。一番困るのは、1210万画素級に相応の画像データを吐きだすので、メモリやPCのHDD(ハードディスク)を圧迫する。かつてのマルチーズDSC−SX550のような戦闘的な「三洋のデジカメ」の姿は微塵も感じない。
 三洋電機の技術的なノウハウは大したものであった。顕著なのはエネループであり、同等品のパナソニックのエボルタなどは使い物にならない。吸収したパナソニックも心得ているらしく、エネループは現在(2014年5月)でもパナソニックのブランドとして生き残っている。最も、三洋電機時代の優秀な人材の多くが流出したようだ。
 現在でも三洋電機の資源が生き残っているのかもしれないが、我々カメラ民族にとって「三洋のデジカメ」は滅亡したと言っていいだろうな。

 では、撮影結果(国府宮はだか祭編)を見て頂きたい。

(了:2014/5/7)

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