ソニー サイバーショット DSC−F55Kについて


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☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


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 自撮りも可能な回転レンズ式。


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 カールツアイスのディスタゴンである。


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 200万画素級のデジカメとしてはパイオニア。


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 MPEG1動画を撮影できるのもアドバンテージ。


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 旧態然とした操作系も好ましい。
 もっとも、このプッシュ式十字キーは馴染めないのだが。

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 レンズは270度回転して自撮りも可能。
 分単位で残量を表示するインフォリチウム電池を採用。

 デジカメのパイオニアといえばソニーである。商業的な成功はカシオのQV−10となるが、なにしろ世界初のデジタルカメラ「マビカ」を開発したのがソニーなのだ。もっとも、「マビカ」は基本的にはムービーカメラの静止画像を切り取ったモノであり、記録メカニズムも後裔のデジカメとは異なるので、近代のデジカメの祖先とは異なるというのがデジカメ憲法学者の総論である。それは兎も角、ソニーはデジカメ大戦の初期からアドバンテージを得ていた。ソニーのスチルデジカメのデビュー戦はQV−10から遅れること1年、1998年に登場したサイバーショットDSC−F1である。これは35万画素級の撮像素子に内蔵メモりという抑え気味のスペックだが、ボディ上部のレンズが回転して自撮りも可能という頃で主にガジェット好きに熱狂的な支持を得た。もっとも、ポジションはデジタルアイテムの一つであり、あまりカメラとして認識されたとは言えないな。もっとも、黄金時代のソニーのフォロワーからすれば、アナログなフィルムカメラなんかと一緒にされるのは不名誉という立場だったろう。その後、ソニーはサイバーショットFシリーズをゆっくりと展開するのと同時に、フロッピーディスクに記録するデジタルマビカを展開する。今ではフロッピーディスクという媒体は説明を必要とするな。サイバーショットの方はDSC−F2、DSC−F3と後に続くのだが、撮像素子は35万画素級のままで、駆動時間が20分(!)から35分に増えたとか、内蔵メモリが4MBから8MBに増えたとか、現在の視点では微動のような進化であった。
 よもやソニーはフロッピーディスク路線で行くのかと、さしものソニーフォロワーも不安になっただろう。しかし、サイバーショットDSC−F3の登場から1年半、1999年3月、本カメラが登場する。本カメラの登場に当時のソニーフォロワーは狂喜しただろう。何しろ初めてづくしのカメラだったのだ。初めての200万画素級撮像素子を搭載し、初めて記録媒体としてメモリースティックを採用した。また、MPEG1で動画撮影ができるようになったのも本カメラが最初だろう。そして、初めてカールツアイスブランドのレンズを搭載したのである。しかも、ディスタゴンを奢っている。これにはパブリシティ業界も「有名ドイツメーカーが設計した構成のレンズを登載」などとはしゃいでいた。勿論、はしゃいでいたのはデジタルガジェットのパブリシティであり、当時のカメラ関係のパブリシティの評価はよくわからない。恐らく冷笑だっただろうな。もっとも、この「ディスタゴン」はそう悪いレンズではなさそうなので、かえって気を負わされて気の毒ではある。
 1999年3月はデジカメ史に残るポジションで、同世代に同じく200万画素級のデジカメが複数登場している。ニコンはクールピクス950であり、フジフィルムはファインピクス2700であり、翌月4月にはオリンパスからキャメディアC−2000Zoomが登場している。それぞれのキャラクターが全く異なるのが興味深い。クールピクス950はひたすら高画質で大柄だがデジカメ時代の特徴的なスイバル式のデザインであった。ファインピクス2700はファインピクス700の延長にある独特の縦形スタイルだが、基本的にはフィルムコンパクトカメラの代替品を狙っている。キャメディアC−2000Zoomはマニアル機能が豊富で準一眼レフの座を狙っていた。では、本カメラが狙っていたキャラクターはどうかというと、これはサイバーショットの後継者としか言いようがない。
                ☆           ☆
 本カメラの仕様を紹介しよう。撮像素子は211万画素で前述のライバルと同期なものの、200万画素級のデジカメとしてはパイオニアである。レンズはライカ判換算で37mmF2.8の単焦点レンズを組み合わせる。こいつがディスタゴンで5郡5枚だそうだ。サイバーショットDSC−Fシリーズは形状的な事情から単焦点レンズの制約があったが、最後期のサイバーショットDSC−F88ではズームレンズをとうとう搭載した。エポックメイキングなのはMPEG1動画を撮影出来ることで、これは大きなアドバンテージとなっている。当時、動画を売りに出していたデジカメは三洋のマルチーズシリーズくらいなものだ。もっとも、最大16MBのメモリースティックではパフォーマンスも知れているのだが、結婚式の参加者メッセージを式場で再生する程度には役に立ったようだ。バッテリーはデジタルビデオカメラのインフォリチウムを採用。DSC−F1時代では20分だった駆動が1時間に拡大している。また、分刻みの撮影可能時間の表示も可能とした。1時間というと現在の視点では陽炎の寿命のようだが、なにせ16MBのメモリースティックが7000円くらいしたのだから永遠を意味した。この辺りはデジタルビデオカメラで成功したソニーの技術的バックボーンが発揮されているな。
 ディスタゴンのパフォーマンスは拙僧のコンテンツを見ていただいている方を想定すると、真面目に語るのは失礼だろう。しかし、割と最近(2003年くらい)までソニーのデジカメは絵が切れだと信仰する方がいらっしゃった。それは本カメラでも満更、根拠がないわけでもないと思われる。例えばファインピクス2700の画像はいかにもデジカメといった誇張された発色であり、褒めてベルビアか実際にはトレビといった感じで色づけが過剰であると思う。クールピクス950はズームレンズと高画質が突出しているが、大柄でスイバル式とう特殊なスタイリングに違和感を感じる方も少なからずだっただろう。比べると、本カメラの撮影画像はエッジは繊細でシャープ、発色は抑え気味でデリケートとソニーというやんちゃなイメージとは裏腹に安定的な画像を撮影する。逆光にもそこそこ強い。なので、ソニーの画像にフィットしてしまった方は、簡単には他のメーカーには移行できないだろうな。
                ☆           ☆
 実際の撮影がモダンな戦闘に耐えうるかは重要なことではないので省略したい。あえて補足すれば起動4秒、記録2秒というのは当時のデジカメとしては高レスポンスだった。
 ソニーといえばテストマーケティングで賛否が分かれるが、拙僧はあまり感心しない。実際、ソニーが普通のニーズに応えようになったのはサイバーショットDSC−P2辺りからだろう。それはそれでコアなソニーフォロワーやガジェット好きは誇りに思った物だ。
 しかし、現在の世知が無い世の中ではパズドラのように凡人が簡単に扱えるものでないと売れないのだ。本カメラはソニーが輝いていた良き時代のカメラであろう。

 では、撮影結果(名古屋散歩編)をご覧頂きたい。

(了:2015/7/1)

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