パナソニック ルミックスDMC−FS1について


DMC-FS1
廉価モデルだが、DMC−FXシリーズに引けを取っていない。

☆ジャンク度☆
無し
撮影可能


DMC-FS1 DMC-FS1
 ライカ判換算で35〜105mmF2.8〜5の光学3倍ズームレンズを搭載する。
 勿論、パナソニックお得意の光学手振れ補正機構を組み合わせる。

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 撮像素子の画素数は600万画素級。
 黄金に輝いていた「ルミックス」ブランド。


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 グリップも効果的。
 本カメラのフレンドリーな特性の一つだろう。


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 軍艦部のレイアウトは、当時のルミックスと共通である。


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 そこそこスリム。
 極端に薄いボディだと、ホールディングにも都合が悪いし、バッテリーの容量にも制限が生じる。


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液晶ビュワーにコストダウンは感じない。

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 階層メニューのデザインはFXシリーズに比べて、やや簡素化してあるか。
 操作性に見劣りは無し。


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 「バリオ−エリマリート」というネーミングが、どの程度の求心力があるのか分からない。
 ルミックスDMC−FX01と共通で、信頼できる物だ。


 既にルミックス DMC−FS7を紹介させていただいている。その時にはDMC−FSシリーズを全く知らなかった。勿論、ルミックスDMC−FXシリーズは知っていた。つまり、DMC−FSシリーズはDMC−FXシリーズの下位に値する、廉価シリーズなのだ。そのネームシップとなったのは本カメラ、つまりルミックスDMC−FS1である。登場は2007年。当時のパナソニックの公式アナウンスでは「廉価」や「エントリー」などという単語は一切使わず、一貫して「姉妹」という単語で説明していた。本カメラと同時期に登場したのがルミックス DMC−FX30だ。なのでDMC−FX30が「姉」で本カメラが「妹」という位置づけになるのだろう。しかし、パナソニックは上下関係を明確的にしていないな。やはり同時期にルミックス DMC−TZ3が登場している。これは、コンパクトカメラのスタイリングを維持しつつも光学10倍ズームレンズを組み合わせたもので、パナソニックに言わせると「奥様」だそうだ。イメージキャラクターとして「綾小路きみまろ」さんを起用し、「孫の顔は大アップ」等と言っているので、シニア層も含んでいるのだろう。ルミックスDMC−FX30のイメージキャラクターは「はまアユ」さんを踏襲している。どこかのWebページに引っかかったら見てほしいのだが、そろそろ「はまアユ」さんもいい歳なので、イメージリーダとしての露出が難しくなっていたのが分かる。何れにしろ、パナソニックの「女子押し」は顕著で明確だな。ミラーレス一眼を開拓したルミックスDMC−G1が登場するのは、翌年の2008年になる。ターゲットは「青文字系」や「コンサバ系」の知的女子と明確だった。彼女らの、「男子と同じ重っ苦しいカメラは使いたくない」という独立自立色も満たした見事なターゲッティングとパッケージングであった。当時は「レフレクスミラーがあるから一眼レフなのにミラーレス一眼ってどういう意味よ」と、男子は混乱したのだが、女子は柔軟に受け入れた。パナソニックの「女子押し」マーケティングとノウハウの集大成である。標準的な消費製品にとって、「女子押し」のベクトルは市場を形成するにおいては真っ当な物である。既に「カメラ女子」などという言葉が発生していて、女子のカメラニーズの機運は高まっていた。実際のところ、ガールズ市場はティーンエイジからアラフィフティまで厚く多様である。こういうのは東アジアの独特な市場構成で、北米だったら、まずコーギャルさんとお孫さんが3人もいるシニアさんが同じカメラを買うというのは無いな。今や、20代の平均年収が200万円台前半と可処分所得が低くなり、男子の購買力は悲観的なのだ。それでも四ツ輪くらいは欲しいから、何とか資金を捻出しなければならない。とても、カメラに金を割く余裕はないな。ハッキリ言って、カメラに10万円ほどの資本を投入する方は、女子を諦めているだろう。ルミックスDMC−G1は独立志向の女子向けだが、ティーンエイジやシニア層の女子は親や亭主住まいで可処分所得が高いのだ。独立女子だって、四ツ輪を買わなくていいから、カメラくらいなら投入する資金がある。「綾小路きみまろ」さんの起用だって、ツアー旅行で景気よく金をばら撒くのは熟年女性だという冷静な分析だろう。これがニコンあたりだと、「とーちゃんのこずかいは渋って、景気よく小田原あたりの1個2000円のロールケーキをバスツアーで荒買い」などというのが、光学機器のコア消費者なのは認めたくないだろうな。この時期のパナソニックのマーケティングは良くできたものだった。しかし、数年以内にコンパクトカメラの深刻な脅威となる新市場が、同じ2007年に勃興したのだ。iPhoneの登場である。「女子押し」とういうマーケットはiPhoneやスマートフォンがSNS系と親和性が高いこともあって、たちまちパナソニックのマーケティングを御破算にしてしまった。もちろん、スマートフォンでは満足いかない撮影モチベーションの方は建材だが、そういうニーズにパナソニックがトレースできたように見えない。パナソニックが開拓したミラーレス一眼のジャンルはオリンパスが圧倒的だし、デジ一眼は完全にパナソニックのラインナップの外である。
                ☆                 ☆
 本カメラの素性も簡単に紹介しよう。レンズは35〜105mmF2.8〜5と標準的な光学3倍ズームレンズを搭載し、600万画素級の撮像素子を組み合わせる。DMC−FX30は720万画素級とちょっとだけ強力だが、大した差とは思えないな。ズームレンズは勿論、光学手振れ補正機構を組わせる。注目したいのはバッテリーで、DMC−FX30が薄型の新型バッテリーを採用しているの対し、本カメラはDMC−FX01時代の旧いものである。このバッテリーは現在の視点では少々大柄だが、好ましいタフネスを実現しているので悪いものではない。とある、キヤノンのIXYデジタルの薄型バッテリーは寿命が著しく短く、欠陥品としか思えないしな。しかし、撮像素子が600万画素級でバッテリーがDMC−FX01と同じとなると、設計やパーツをDMC−FX01から流用しているのかもしれないな。それ自体は悪いことではなく、常識的なコストダウンの手段だ。
 実際に使ってみるとAFのスピードや精度、全体的なレスポンスにパワー不足を感じなくもない。しかし、それはDMC−FX30と比べてであって、当時の標準的なライバルに比べて劣るものではなく、逆に大抵の場合は優れていると感じるだろう。拙僧のように1グロスくらいのデジカメを所有したり使ったりすると違いに気づくが、そういうのはカメラではなく、人間が失敗している。ただ、AFやAEの精度不足を画像処理で補っている傾向を感じるな。かなり発色は作為的である。日陰の水色の半被が、こんなに鮮やかに再現されるのはオカシイよな。しかし、その日にお子さんが日陰に居たことなど5年もすれば忘れてしまう。プルーフとしては如何なものかと思うが、コンパクトデジカメのニーズには合っているだろう。
                ☆                 ☆
 パナソニックが民生デジカメで、そのニーズにアドバンテージを確保したいのか、良くわからない。ハイスペックズームやカジュアルズーム、ハイエンドずーむとカテゴリーを細分化しているようだが、今更、ライカレンズが付いていても求心力はアテニならなさそうだし。
 フジフィルムのX−Proシリーズのようにコンセプトが明確で「パナソニック色」を前面に押し出す、圧倒的な打撃力が必要だと思うな。まあ、パナソニックは建材や自動車で忙しくて民生カメラに資材や人材を割くつもりなんかないだろうな。オリンピックで使われるカメラは確実にニコンかキヤノンだからな。オリンピック景気が思ったような国益の底上げにつながるかわからない。しかし、建造物の照明デザイン、空調、セキュリティの情報制御は全てパナソニックとかかわり深いからな。カメラなんか単価も低いし、本気を出すつもりはないだろうな。

 では、撮影結果(ビレッジ山車祭り編その1)を見て頂きたい。

(了:2013/10/23)

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